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二俣山・皆ヶ山・アゼチ
 蒜山高原キャンプ場から、二俣山・皆ヶ山と登山道を登り、
アゼチから蛇ヶ乢をまでヤブコギし、上蒜山スキー場まで
林道を降り、出発点に戻る コース


標高      二俣山   1,113m
         皆ヶ山   1,159m
         アゼチ   1,116m
所在地    真庭市(旧 川上村)
歩行距離   13.5Km
登山日    2005年10月30日(日
天候      晴れ後曇り。 午後3時ごろより雨。
         現地気温4℃で少し寒い。
アプローチ  自宅を5時に出発し、真備から美袋に抜け、国道180号線を高梁
        に向けて走る。 北房から月田に抜け、国道181号線を新庄に向かう。
        新庄から野土路トンネルを抜け、蒜山高原キャンプ場に
        7時20分到着、駐車
備考     蛇ヶ乢からの林道は崩落して無いに等しい。 
        部分的に一部残っているが、背丈以上の根曲竹と蔓と刺のある植物の
        密生地となっており、一歩進むのも大変なところが多い。
        川に沿って降るが、川の左側は支流が多く、支流を何度か渡る必要が
        ある。 支流を渡る時、川までの高さは概ね5〜6m程度以下の所で
        ないと絶壁で支流の水面まで降りられないし、また登れない。
        川の浸食で深く垂直にえぐり取られている所が多いので注意が必用だ。
        支流を渡らなければ、背丈以上の根曲竹を支流の最後部まで
        さかのぼらなければならず、大変時間がかかる。
        林道分岐から、東側かなり上部を通る林道が地形図にあり、この林道を
        帰るのが最善のようだ。 今回は調査が足らず、ガイドブックを鵜呑みに
        して大変な目にあった。 蛇ヶ乢から少し登らなければならないが、
        こちらの林道を利用される事をお勧めします。
        今回、ガーミン社のeTrexと言うGPSを持っていき大変役に立ちました。
        地形が変わってしまっている状況下では、地形図とコンパスだけでは、
        現在地の特定が大変難しい。
        地形図に載っているルート(ポイント)をGPSに登録しておけば、現在地と
        進んでいる状況が目で見てわかるので、精神的にも有用な物だと言う
        事を再認識しました。
        使用する上で多少慣れが必要の為、普段からGPSを使って感覚を
        掴む事も大事だ。
  チェックポイント 時間 標高 メ        モ
@ 蒜山高原キャンプ場 7:30 580m キャンプ場の舗装された道を奥に入り、2つ目のトイレがある先に皆ヶ山の標識があり、そこから登山道に入る。 登山道は良く整備されており、比較的なだらかだが、だんだん勾配が急になってくる。
A 丸太階段 8:10 760m 丸太階段は痕跡がある程度で、だいぶ傷んできている。 傾斜も更にきつくなり、道の横に生えている木に捉まりながらよじ登る。 途中、木立の合間から皆ヶ山とアゼチが良く見える。
B 二俣山頂上 8:30 1,113m 南側に多少の展望があり、少々休憩を取る。
  休憩後出発 8:45   少し降ってから、再び急登となり、側に生えている木に捉まりながらよじ登る。
C 皆ヶ山頂上 9:05 1,159m アゼチが目の前に見え、遠くに上蒜山が天気のせいか霞んで見える。 少し休憩を取る。 ここまでは予定より早く順調だ。
  休憩後出発 9:20   ここから先は踏み跡が無く、いきなり背丈以上の根曲竹の中に突入する。 少し行くと黄色いテープの目印があり、歩いている人がいることが分かり心強い。 尾根沿いはかすかに踏み跡が感じられる所があり、昔は歩いて行ける道があったことが分かる。
D 鞍部 9:50 999m 無事鞍部まで降り、ここからは根曲竹の中を登るためキツクなる。 20分ばかり根曲竹と格闘すると、尾根の肩の所に出て少しなだらかになり、踏み跡が見られるが、それもつかの間、再び根曲竹の強烈なヤブコギとなる。 所々倒木があり、そこは根曲竹が倒れ歩き易い。 大きな倒木の上に上がると、皆ヶ山などの景色が良く見える。 1時間弱、根曲竹と格闘の末、根曲竹の隙間から空が見えるようになると頂上に着く。
E アゼチ頂上 10:40 1,116m 頂上は太い根曲竹が密生しており、比較的なだらかだ。 時間も時間なので昼食を取る事にする。 と言っても座る所すらないが、比較的南側の根曲竹は細く、足で押さえつけると寝てしまうのが好都合で、根曲竹を横にした上で昼食を取った。 根曲竹が寝てしまうと景色もまずまずで、上蒜山が遠くに見える。 しかし、天候のせいか少し霞んでいる。 紅葉も綺麗で、下山ルートも良く確認でき、蛇ヶ乢のあたりまで見える。
  昼食後下山 11:10   尾根に沿って根曲竹の藪を漕ぎながら降っていくと、所々に色あせた赤テープや黄色のテープの印があり心強い。 テープは古ぼけており、ヤブコギで歩いている人はどのくらいいるのだろうかと考えてしまう。 また尾根沿いは、所々根曲竹の生え方が粗い所が有り、踏み跡が残っている。 昔は十分歩けていたものと想像できる。 尾根の稜線は幅が広く、右に少しふって降るところから、その後再び左にふって降る所が分かり難く、稜線のつながり方がおかしいと気付き、GPSで確認した所、200m程度ずれている事が分かり、左へ斜面を修正して正規の尾根に戻る。 根曲竹の中の軌道修正はなかなか大変な物が有り、時間をロスした。 しかし、こう言う時GPSは判断がし易く便利だ。
F 969m地点 12:00 969m さすがに降りでもヤブコギはきつく、途中ルートが分かり難かったせいもあり、少々疲れ気味で10分ほど休憩を取る事にした。
  休憩後出発 12:10   ガイドブックでは、ここから根曲竹が少なくなり歩き易くなると有るが、全く変わらず背丈以上の根曲竹があり歩き難い。 所々目印の古ぼけたテープが付けてあり参考になる。 やがてススキが一面に茂る野原が見えてきて、なだらかになると蛇ヶ乢に着く。 一応予定時間通りで順調だが、体力は限界に近づいて来ている。。
G 蛇ヶ乢 12:50 673m 全力で藪を漕ぎへとへとで、後は林道歩きと気楽に構え5分休憩を取る。
  休憩後出発 12:55   蛇ヶ乢にはススキが生えており、一面ススキの原。 蛇ヶ乢を横切り植林帯への踏み跡があり、行って見るが植林の中で踏み跡は消え林道はない。 蛇ヶ乢に降りた時点で林道がすぐ見つかると思っていたので、少しショックを受けた。 天候も晴れ間から雲が多くなって、少し寒く感じるようになってきた。 仕方が無いので元の場所まで戻り、eTrex(GPS)でルートの再確認をする。 蛇ヶ乢には、林道に相当する位置に作業道のような細いわだちがあり、上蒜山スキー場方向に進んで行くと、すぐ湿原帯になり作業道は消える。 湿原帯の水が少ない所を選んで歩き降って行くと、背丈以上の根曲竹の藪に入る。 密生した根曲竹をヤブコギしながら降っていくが、所々に刺がある植物が密生していて、ズボンや服の上から引掛り痛いのなんの。 刺のある植物は一面に生えており、避けては歩けない。 背丈以上の密生した根曲竹の下に、林道が有るかどうかは全く分からない状況。 降ると言っても、傾斜がほとんど分からない程度の降りで、感覚的には根曲竹の密生した平原をとめどもなく歩くと言う感覚で、少し歩いただけでウンザリする。 この林道を歩く事を後悔するが、とにかく一歩でも前に進まないと抜けられない。 ここはまるで根曲竹藪の地獄に見えてくる。 家に帰りたい一心で疲れた体に鞭打って前に進むが、蟻地獄に落ちた蟻のようで心境は複雑だ。 川に沿って降ると、根曲竹の生え方が粗く歩き易い事が分かる。 川沿いをしばらく行くと平坦な所が無くなり、川の右側急斜面を歩くか、川の左側を歩くかと言う選択に迫られる。 仕方ないので、川の左側を歩く事にし、少し戻り、川の渡れそうな所を探し、川の左側に移り背丈以上の密生した根曲竹をヤブコギしながら降る。 途中蔦や倒木が有り、とても歩けたものではない。 猛烈な根曲竹の薮を掻き分けながら進むと、左からの支流が合流し、歩く所が無くなる。 川に降りようにも10m程度の絶壁があり、川には降りられない。 支流に沿って少し川上に戻り、渡れそうな所を探し、支流を渡り、再び猛烈な根曲竹の薮を降ると、再び支流に合流する。 ここも10m以上の絶壁で川に降りられない。 再び支流をさかのぼり、降りて川を渡れる所を探し、支流を渡り、根曲竹の薮をヤブコギで降る。 またまた支流が合流する場所にでる。 さすがに疲労が溜まってきて、支流をさかのぼり渡る元気が無くなってきて、何とか合流地点で川に降りられる場所を探し、川沿いの石の上を歩いて行く。 少しばかり川の石の上を行くと、崩落した林道の跡であろうか、痩せた尾根のような中州に辿り着く。 痩せた尾根のような中州によじ登り、幅20センチぐらいの所を、根曲竹や木を掴みながら進んで行くと、川の右側に林道のような痕跡のある所に行くことができた。 良く見ると林道で、車の通った跡があり、やっとこれで帰れると思った。 林道は背丈以上の根曲竹と蔦でとても歩き難いが、希望がでてきて気分も少し楽になった。 がそれもつかの間で、少し歩くと林道は再び崩落してなくなる。 根曲竹の藪は更にひどくなり、蔦と刺のある植物が猛烈に茂る根曲竹の中を、一歩進むのもやっとの状況になり、四苦八苦しながら進んで行くと、極めつけは、大きな木が何本も倒れ行く手が塞がっている。 何とか乗り越え右側の斜面をよじ登ると、再び林道の痕跡がある所に出る。 根曲竹の生え方が少し粗く、ペースを上げて進むがそれもつかの間、再び林道が崩落して、今度は石がゴロゴロした中洲の中に根曲竹、茅、蔦、刺のある植物が密生した地獄のような所になってくる。 一歩歩くのも大変な状況の中、時計を見ると14時30分を既に回っている。 長時間ヤブコギを続けたせいもあり、足が上に上がらなくなってきて、蔦に引掛り何度も前につんのめってこける。 悪い事に、天候が悪化してきており、空は薄黒く雲って夕方を思わせるように薄暗くなってきた。 GPSで確認しながら、設定した林道上を歩くルートに沿って進んで行くが、道が有る訳ではなく、川が分岐し、小さな水の流れがいたるところにあり、藪をこいでいるつもりでもうっかりすると、川の中に足を突っ込みかねない。 今度は石に足を取られ、前につんのめった拍子に折れた根曲竹の先が鼻の穴に見事入り、痛いと思った瞬間鼻血が出てきて大変な目に合った。 タオルで少しの間鼻の中を押さえていたが、とりあえずここを抜け出すことだけで頭が一杯になり、すぐ出発する。 GPSと地形図を確認し、そろそろ最後の川を渡るあたりに来ていると判断し、GPSのルート上を確認しながら注意深く進むと、何やら踏み跡らしきものを発見する。 とりあえずその踏み跡を辿り進むと、つい最近まで車が走っていた跡のある林道終点部分に出た。 最高にうれしかった。
  林道出合 15:05   林道を5分ほど南に進むと林道分岐に出る。
H 林道分岐 15:10 600m ガイドブックでは、蛇ヶ乢から林道分岐まで、林道歩き30分となっていたが、2時間15分かかった。 地形図上、林道の距離は2km程度だったが、道が崩落しており、迂回したり全てヤブコギしたため3km程度歩いたようだ。 ほとんど道無き道で疲れきった体を休めるため、しばし休憩を取った。
  休憩後出発 15:25   歩き出すとすぐ雨がポロポロしだし、傘をさして未舗装の林道を進む。 ヤブコギ中に雨にならず感謝。
I 上蒜山スキー場 15:35 576m 舗装された道になり、疲れ果てた体に鞭打ち、動かない足をひこづるように蒜山高原キャンプ場に向かう。 雨と風がかなり強くなってきた。 ズボンは膝から下が濡れて冷たい。
@ 蒜山高原キャンプ場 16:30 580m 車に辿り着くと疲れがどっとでた。 さすがに家に帰るのがしんどい。 どんな時もパニックを起こさず、冷静な判断で、一つづつ確実に実行することがいかに大切か、身をもって思い知らされた。 蛇ヶ乢でもうだめだ、とやけを起こしていたら本当に帰って来れていなかったと思う。 何事も最後まであきらめない事が大事だ。



二俣山頂上よりアゼチを望む。
木立に遮られ、遠くに見えるアゼチ。
二俣山頂上は、南側に多少展望がある。




皆ヶ山頂上よりアゼチを望む。
アゼチがずいぶん近くに見えてきた。
ここから目の前に見えている根曲竹のヤブコギとなる。




鞍部を越え、アゼチに登る途中、巨大な木が倒れており、その上に上がり皆ヶ山を写す。
皆ヶ山から鞍部に降る尾根が見えている。




アゼチ頂上より、上蒜山を望む。
少し霞んで見えるのが残念。




アゼチ頂上より南側の展望。
眼下には蒜山の旧 川上村が見えている。




アゼチ頂上より、蛇ヶ乢に降るルートを望む。
降りルート上には所々木が有るものの、緑色に見える根曲竹がビッシリ生えているのが分かる。
季節柄、紅葉がとても綺麗で、暑さ寒さも感じず、気分は最高。